「劣化ウラン含有弾の誤使用問題に関する環境調査の結果について」
(平成9年6月)の概要
 
[総合評価の概要]
 

1.

鳥島への影響
 環境調査の結果、空間放射線量率、大気浮遊じん、鳥島周囲の海水及び海産生物(海藻)に劣化ウランの影響は認められないことが確認された。
 他方、土壌については、鳥島の大部分を占める平坦部での影響は認められなかったが、劣化ウラン含有弾の掃射の標的になっていたとされている鳥島北側丘の南斜面の土壌の一部に劣化ウランが含まれていた。
 しかしながら、その濃度を検討の結果、劣化ウランからの外部被ばくによる放射線量の寄与は自然のウランに比べて100分の1程度でしかなく、これらの土壌に含まれる劣化ウランから受ける線量の影響は十分に小さい。
 以上のことから、鳥島は放射線に係る安全管理が施されていることを考慮すれば、劣化ウランの影響範囲は極めて限られたものであり、鳥島に立ち入ったとしてもその影響は十分小さいと考えられる。
   
2. 鳥島の周辺環境への影響
   鳥島周辺海域の調査の結果、同海域の空間放射線量率、水中放射線量率、海水、海産生物(魚類等)に劣化ウランの影響が認められないことが確認された。
 仮に未回収のウランがすべて鳥島の周囲半径約5.5kmの立入制限水域内の海水中に溶け出したと仮定して計算した場合においても、その量は海水中に溶けている自然のウラン量の約0.13%であって影響を与えるようなレベルではない。加えてこの海域は黒潮が絶えず流れており、劣化ウランは海水に自然に溶けている天然ウランに直ちに希釈されてしまうと考えられること等から、劣化ウランの鳥島周辺海域への影響は無視できる。
 なお、鳥島に最も近い居住可能地域である久米島においても、空間放射線量率、大気浮遊じん、島の周囲の海水及び海産生物(海藻)に劣化ウランの影響は認められないことが確認され、このことから、久米島の環境や一般公衆の健康に劣化ウランの影響はないと考える。
 また、仮にすべての未回収の劣化ウランがエアロゾル化したと仮定して計算した場合でも、吸入摂取による線量は自然界から通常受ける線量に比べ0.3%程度であり、実際は大量にエアロゾル化したとは到底考えられないことからも、劣化ウランのエアロゾル化による影響は無視できる。
 以上の検討を総合すると、鳥島周辺環境への劣化ウランの影響は無視できると考えられる。